「袴田事件」の再審無罪判決を受けて、改めて再審法の速やかな改正を求める会長声明

2024年9月26日 公開

 2024年(令和6年)9月26日、静岡地方裁判所は、いわゆる「袴田事件」について、袴田巖氏に対し、再審無罪判決を言い渡した。
 「袴田事件」は、1966年(昭和41年)6月30日未明、旧清水市(現静岡市清水区)の味噌製造会社専務宅で一家4名が殺害された強盗殺人・放火事件である。
 袴田巖氏は当初より一貫して無実を訴え、二度にわたる再審請求を行い、58年を超える係争期間を経て、今回の再審無罪判決が言い渡されたものである。
 袴田巖氏は、まさに人生の大半を自己のえん罪を晴らすための闘いに費やさざるを得なかったのであり、その間被った身体的・精神的苦痛は筆舌に尽くしがたい。
 そこで当会は、検察官に対し、今回の無罪判決を尊重し、上訴権を放棄して直ちに無罪判決を確定させるよう強く求める。
 また、「袴田事件」は、審理の長期化等といった現行の再審法の不備を改めて浮き彫りにしている。このような問題は他の再審事件でも同様に見られるのであって、まさに制度的・構造的な問題である。
 当会は、2023年(令和5年)10月25日に再審法の改正を求める決議を全会一致で可決し、再審手続における証拠開示制度や検察官の再審開始決定に対する不服申立を禁止する規定の創設を求めているところである。
 そこで、今回の「袴田事件」再審無罪判決を機に、改めて、政府及び国会に対し、再審請求手続における証拠開示の制度化、再審開始決定に対する検察官の不服申立の禁止を含む、再審法の全面的な改正を速やかに行うよう求める。

2024年(令和6年)9月26日
 秋田弁護士会
  会長 石 田 英 憲

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