被災者生活再建支援金支給申請期間延長を求める会長声明

2024年5月28日 公開

 令和5年7月14日からの大雨(以下,「令和5年7月豪雨」という。)により,秋田県内各地で住家への浸水等の被害が発生した。秋田県によると,県内の住家被害は全壊11棟,半壊2892棟,一部損壊28棟,床上浸水741棟,床下浸水3367棟に上っている(令和5年12月26日発表)。
 令和5年7月豪雨による被害を受け,秋田県は,秋田市,能代市及び五城目町に対し,被災者生活再建支援法(以下「法」という。)の適用を決定した。 
 被災者生活再建支援法施行令(以下「施行令」という。)4条では,法3条1項に基づく被災者生活再建支援金(以下「基礎支援金」という。)の支給申請期間を災害が発生した日から13か月(施行令3条1項),加算支援金の支給申請期間を自然災害が発生した日から37か月(同2項)としている。これにより,令和5年7月豪雨における秋田市の場合は,基礎支援金については令和6年8月13日,加算支援金については令和8年8月13日が申請期限となる。他方,施行令4条4項において,都道府県による期間延長の余地があることも規定されている。平成23年の東日本大震災や,平成30年7月の岡山県豪雨災害,令和4年8月の新潟県豪雨災害においては,当該規定に基づき支給金の申請期間が延長されている。
 令和5年7月豪雨により,秋田市では,住家について,全壊11棟,半壊2431棟等の被害が生じている(令和5年12月26日秋田県発表)。これに対し,秋田市における基礎支援金の支給件数は,令和6年2月1日時点で507件とのことである(秋田魁新報令和6年2月3日記事)。
半壊でも住家を解体すれば基礎支援金及び加算支援金を受け取ることができるところ,上記の被災件数と支給件数からすれば,未だ申請に至っていない被災者が相当数いるものと考えられる。
 令和5年7月豪雨は,災害復興等の経験が比較的少ない秋田県内で発生した大規模災害であり,多数の住家被害を含む甚大な被害を生じさせるものであった。これにより,被災者は,経験の乏しい中での災害復興に直面しているところ,解体工事等を行う業者の数が限られることなどから,今後の復興計画の実施には相当の期間を要するものと考えられる。また,基礎支援金の申請期限が迫ることによる心理的圧迫は被災者にとって大きな負荷となる。
 令和4年8月の新潟県豪雨災害においては,村上市において,解体工事業者が手配できないことを理由にした申請期間延長が認められている。
 基礎支援金の支給申請期間延長については,既に秋田県においても検討が行われているものと考えられるが,当会としても,被災者が十分な支援を受け得るために,秋田県に対し,施行令4条4項を積極的に適用して,柔軟に,かつ,できる限り長期間にわたって,基礎支援金及び加算支援金の支給申請期間を延長するよう,要望するものである。

                                        以上


2024年(令和6年)5月28日
 秋田弁護士会
   会長 石 田 英 憲

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