2018年度司法試験について厳正な合否判定を求める会長声明
2018年7月30日 公開
2018年度の司法試験受験者数は,わずか5238人である。
司法試験制度が改革され,法科大学院修了又は予備試験合格が受験資格とされて以後,法曹志願者は著しく減少し,司法試験受験者は減少の一途をたどっている。かかる現状に対し,政府の法曹養成制度改革推進会議は,2015年6月30日,法科大学院制度の改革等によって法曹の質を確保しつつ,年間1500人程度の合格者の確保を目指すとの方針を示している。
このような中で,本年9月11日に発表される本年度司法試験の合格者数が注目される。すなわち,仮に,冒頭記載のとおり受験者が減少した本年度においても1500人の合格者を確保するなら,その合格率は28.6%となり,法科大学院終了又は予備試験合格を受験資格とする現在の司法試験制度に完全移行した2011年度以後の合格率と比較して突出して高くなってしまう。とすれば,昨年以前であれば合格水準に達していないと判定されるべき受験者が合格とされてしまうことが危惧され,法曹の質が確保されない懸念が生じる。
昨年,当会は「司法試験合格者数の見直しを求める会長声明」を発表し,法曹志願者の減少が法曹の質の低下を来たし,ひいては国民の不利益につながることへの懸念を表明している。
法曹は,国家三権の一つ司法の担い手であり,基本的人権の守り手である。かかる重要な職責を負う法曹の質は,確保されねばならない。当会は,今年度の司法試験合格者が,たとえ1500人程度を大きく下回ることになったとしても,厳正に合否判定を行うことを求める。
2018年7月30日
秋田弁護士会会長 赤 坂 薫