憲法記念日を迎えての会長声明

2022年5月6日 公開

 本日は、日本国憲法が施行されてから75年目の憲法記念日です。
 日本国憲法は、前文で恒久平和主義を規定し、平和を愛する諸国民の公正と信義を信頼し、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有していることを確認しています。
 しかしながら、本年2月24日、ロシア連邦がウクライナに対して軍事侵攻を開始しました。これは国際法及び国際連合憲章に違反するものであり、上記の理念を掲げる日本国憲法の下、基本的人権の擁護を使命とする私たち弁護士は、このロシア連邦によるウクライナに対する軍事侵攻、それに伴う重大な人権侵害行為を、断じて許すことはできません。そのため、当会は、3月8日、「ロシア連邦によるウクライナへの軍事侵攻と核兵器による威嚇に対して強く抗議し、国連総会決議の即時受け入れを求める会長談話」を発表しました。
 一方、このような状況の中で、日本国内の一部からは、米国の核兵器を自国の領土に配備して共同運用すべきといった、核兵器廃絶の方向性に反するような意見が出ています。しかし、日本は、日本国憲法における平和主義の下、唯一の被爆国として非核三原則を揺るぎなく堅持すべき立場にあり、非人道的な核兵器の廃絶に向けてたゆまぬ努力を続けるべきです。
 また、今回のような国家有事に備えて、憲法に緊急事態条項を創設すべきとの議論も再燃しています。緊急事態条項は、戦争、内乱、大規模な自然災害等、平時の統治機構では対処できない非常事態において、国家秩序維持のため、立憲的な憲法秩序である人権保障及び権力分立を一時停止する非常措置をとる権限、いわゆる国家緊急権を行政に認めるものです。しかし、非常事態における例外的措置であるとはいえ、行政府に権力が集中し強化され、その濫用のおそれがあります。それにより重大な人権侵害を生む危険があり、国家秩序維持のために立憲主義及び民主主義を根底から覆すものです。そもそも、戦争、内乱、大規模な自然災害等の対応については、立法により対処可能であり、憲法に緊急事態条項を創設する必要はありません。新たに立法及び法律改正を行う場合には、濫用のおそれがないように国会で審議を尽すべきです。
 当会は、本年の憲法記念日にあたり、改めてロシア連邦によるウクライナへの軍事侵攻に対して強く抗議するとともに、日本政府に対し、非核三原則の堅持及び核兵器廃絶に向けた努力の継続を求めます。そして、核兵器廃絶、緊急事態条項の創設といった問題について、一人でも多くの市民の皆様が、日本国憲法の基本原理である恒久平和主義、立憲主義の観点から議論を深めていただきますよう呼びかけます。

2022年(令和4年)5月3日
秋田弁護士会      
会長  松 本 和 人

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