秋田県の最低賃金額の大幅な引上げを求める会長声明

2015年7月29日 公開

 現在,秋田県の地域別最低賃金は,1時間679円(2014年10月5日効力発生)であり,昨年度の全国加重平均である1時間780円を下回っている。
 地域別最低賃金は,中央最低賃金審議会における最低賃金改定の論議を受けて行われる各都道府県の地方最低賃金審議会での審議の結果を踏まえて,各都道府県の労働局長において定められる。
 我が国の最低賃金制度は,賃金の最低額を保障することにより,労働条件の改善を図り,もって,労働者の生活の安定等に資することを目的としている(最低賃金法1条)。 近年では,非正規労働者の割合が4割近くを占めるまでに増加し,その結果,家計を支える役割を担う非正規労働者も多数現れ,いわゆるワーキングプアと呼ばれる貧困層が広がり続けている。特に本県では,非正規雇用労働者の割合は全国平均を超え,42.9%(平成26年度労働条件等実態調査結果)にまで達している。
 こうした社会の現実を直視して,最低賃金制度を「すべての労働者を不当に低い賃金から保護する安全網」(セーフティーネット)として実効的に機能させるためには,最低賃金でフルタイムで働いた場合にも,人間らしい生活を送ることができる社会を志向して,最低賃金額の引き上げが検討されなければならない。
 政府は,本年6月30日に閣議決定された「『日本再興戦略』改訂2015」及び「経済財政運営と改革の基本方針2015」において,中小企業・小規模事業者への支援を図りつつ最低賃金引上げに努めるべきことを明記し,2010年6月18日に閣議決定された「新成長戦略」においては,2020年までの目標として,「全国最低800円,全国平均1000円」にまで最低賃金を引き上げることを明記しているところでもある。
 最低賃金の地域間格差の存在は,当県からの有為な人材の流出をも引き起こしかねないと共に,人口減少に危機感を抱いている本県において,人口環流の障壁ともなりかねない。
 したがって,当会は,秋田県の地域別最低賃金の大幅な引上げを求めるものである。

2015年(平成27年)7月29日
 秋田弁護士会
   会長 京 野 垂 日

会長声明・決議・意見書 一覧【秋田弁護士会】
スマートフォン版サイトを覧る