特定秘密の保護に関する法律の成立に抗議する会長声明
2013年12月7日 公開
12月6日深夜の参議院本会議において,特定秘密の保護に関する法律(以下「特定秘密保護法」という。)が可決,成立した。
特定秘密保護法に対しては,当会だけではなく,国民各層からも,
① 恣意的に特定秘密と指定され,官僚に不都合な情報隠しなどに濫用されるおそれがあること,
② 行政機関から独立した立場でチェックする第三者機関の設置が先送りされていること,
③ 60年という長期間の秘密指定が可能となることから,主権者である国民による検証が事実上不可能となるおそれがあること,
④ 処罰範囲があまりにも広範であるため,官僚の情報隠しを追及しようと呼びかけただけでも煽動罪の嫌疑で逮捕され,厳罰を科せられかねないことから,国民の知る権利が脅かされ,国民の正当な政府批判までもが萎縮するおそれがあること,
そもそも,特定秘密保護法制を設けることは,この夏の参議院選挙では与党の公約として明示されておらず,選挙の争点にもなっていなかったことから,国民の間で十分に議論をし,意見表明をする時間を十分にとる必要があったものである。
それにもかかわらず,政府与党が,多数を頼みにして,特定秘密保護法の問題点を解消しないまま,参議院での十分な審議を行わないまま採決を強行したことは,熟議を不可欠の前提とする民主主義の観点から,極めて問題があり,遺憾である。
当会は,特定秘密保護法の成立に抗議するとともに,引き続き,同法を改廃して,これまで当会が指摘をしてきた問題点を解消するよう求めていく所存である。
2013年(平成25年)12月7日
秋田弁護士会
会長 江 野 栄