集団的自衛権の行使を容認する閣議決定に抗議し、その撤回を求める会長声明

2014年7月11日 公開

 本年7月1日、安倍内閣は、集団的自衛権の行使等を容認する閣議決定を行った。

 

 集団的自衛権は、日本が攻撃されていないにもかかわらず、実力をもって他国(同盟国等)への武力攻撃を阻止しようとするものである。その行使を容認することは、他国領土や海外での武力行使の途を開くものであり、憲法前文及び第9条の恒久平和主義と相容れないものである。歴代の内閣も、集団的自衛権の行使は憲法第9条の許容するところではないということを繰り返し確認してきたところである。

 

 このような憲法の基本原理に関わる重大な変更を、憲法改正手続を経ることなく、憲法に拘束される内閣が閣議決定で行うということは、立憲主義を真っ向から否定するものである。

 

 今回の閣議決定では「我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある」等の文言で集団的自衛権の行使を限定するものとされている。しかし、これ自体、極めて幅の広い不確定概念であり、時の政府の判断によって恣意的な解釈がされる危険性が大きい。これまで自衛権行使の要件の核心とされてきたのは「我が国に対する急迫不正の侵害があること」というものであったが、本閣議決定の内容はこの限定を解き、我が国に対する急迫不正の侵害がない場合にも、政府による武力行使の途を開くものであり、これまでの日本国憲法の下で、戦争をしない平和国家である日本という国の在り方を根本から変えることになる。

 

 当会は、昨年12月20日及び本年5月22日に、集団的自衛権の行使容認に反対する会長声明を発表してきたところであるが、今回の閣議決定に対し、強く抗議し、その撤回を求めるとともに、今後の関係法律の改正等に、反対するものである。

2014年(平成26年)7月11日
 秋田弁護士会
   会長 加 藤   謙

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