最低賃金の大幅な引き上げを求める会長声明

2019年6月25日 公開



1   現在の秋田県の地域別最低賃金は,1時間762円(2018年10月1日効力発生)であり,全国加重平均である1時間874円を大きく下回っている。

2   我が国の最低賃金制度は,賃金の最低額を保障することにより,労働条件の改善を図り,もって,労働者の生活の安定等に資することを目的としている(最低賃金法1条)。

    ところが,本県の現在の最低賃金では,1日8時間,月に22日間働いた場合の1か月の賃金は13万4112円であり,年間でも160万9344円にしかならない。これでは,労働者が生活の安定を確保することは難しい。

最低賃金制度をセーフティーネットとして実効的に機能させるためには,最低賃金の大幅な引き上げは急務である。   

3   また,最低賃金の地域間格差が依然として大きいことも問題である。
  本県の最低賃金(762円)を,最も高額な東京都(985円)と比べると,その間には223円もの開きがある。2017年における差は220円であったことから,むしろ地域間格差は拡大している。
  このような最低賃金の地域間格差は,賃金の高い都市部での就労を求めて本県からの有為な人材の流出を引き起こすおそれが強い。

   本県が2015年3月にまとめた「秋田の人口問題レポート」によれば,本県は,2040年には,全産業合計で約11万人の労働力不足に陥るとの推測がなされている。ただでさえ少子高齢化によって労働力不足が深刻である本県において,賃金格差による労働力の流出は絶対に防がなければならないのであって,最低賃金の地域間格差の解消は喫緊の課題である。

4   以上のことをふまえて,当会は秋田地方最低賃金審議会に対し,労働者の健康で文化的な生活の確保を実現するとともに本県の地域経済の健全な発展を持続させるため,本県の地域別最低賃金の大幅な引上げを答申することを求めるものである。


2019年(令和元年)6月25日 

                                          秋田弁護士会   
                                         会長 西 野 大 輔







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