安保法制改正法案の強行採決に抗議し廃案を求める会長声明

2015年7月16日 公開

 政府が本年5月15日に国会に上程した,自衛隊法,武力攻撃事態対処法,周辺事態法,周辺事態船舶検査活動法,国連平和維持活動協力法など10件の防衛関係法律の改正案である「平和安全法制整備法案」,及び,恒久的な自衛隊の海外派遣を内容とする新規立法の「国際平和支援法案」(以下これらを総称して「本法案」という。)が,7月15日に衆院平和安全法制特別委員会にて与党による強行採決が行われ,本日衆議院本会議にて野党の反対を押し切って強行採決された。
 当会は,既に本年5月21日に,本法案の数々の問題点と共に本法案が日本国憲法9条の恒久平和主義に反して違憲であることを指摘するとともに,憲法改正手続を踏むことなく憲法の実質的改正をしようとする点で国民主権の基本原理にも反しているとして,本法案の廃案を求める会長声明を発表した。
 その後,6月4日に行われた衆議院憲法審査会の参考人質疑において,与党が推薦した長谷部恭男早稲田大学教授は,本法案が憲法違反であるとの意見を述べ,野党推薦の2名の憲法学者も同様の意見を述べた。その後のマスコミによる調査においても,圧倒的多数の憲法学者が本法案の違憲性を指摘しているばかりか,6月22日の衆議院特別委員会の参考人質疑では元内閣法制局長官2名が本法案の違憲性を指摘するに至っている。
 また,国民の間でも,本法案が憲法に違反しているとの理解が広がり,本法案により集団的自衛権行使が認められて自衛隊の活動範囲が拡大することにより,日本が戦争に巻き込まれるのではないかとの懸念が広がっている。世論調査では,本法案に反対又は少なくとも今国会での成立を強行すべきではないとする意見が国民の過半数を占めるに至っている。
 このような状況にも関わらず,本法案が衆議院の委員会及び本日衆議院本会議において,数で優る与党により強行採決がなされたことは,国民の声を無視した,与党の専横であって,近代国家の常識である立憲主義に反する暴挙と言わねばならない。
 当会は,憲法に反する本法案について与党が衆議院で行った強行採決に強く抗議するとともに,良識の府である参議院での慎重審議により,憲法に反する本法案を廃案とすることを強く求める。

2015年(平成27年)7月16日
 秋田弁護士会
   会長 京 野 垂 日

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