特定秘密保護法案の衆議院での強行採決に抗議する会長声明
2013年11月27日 公開
昨日,衆議院にて,特定秘密保護法案の強行採決が行われ,同法案は衆議院を通過した。
同法案が国民の知る権利を侵害するばかりか,国民主権原理にも反し多くの問題点を有するものであることは,当会が11月11日に会長声明において指摘した。同月25日に福島で開催された地方公聴会においても意見陳述人の全員が反対ないし懸念の意見を述べたことや世論調査の結果からも多くの国民が法案に反対し,不安を持っていることが明らかとなっている。
また,11月21日には,国連人権理事会のフランク・ラ・ルー特別報告者から,ジャーナリストや内部告発者を脅かす危険性があるとして,同法案への懸念が表明されているばかりか,「国家安全保障と情報への権利に関する国際原則」(ツワネ原則)との整合性についても検討がなされていないなど,国際的に見ても問題を有する法案であることが指摘されてきている。
しかし,修正案においてもこれらの問題点は全く解消されていない。
このように,国民主権原理に重大な影響を及ぼすのみならず,国際社会からも疑問が指摘されている法案であることからも,慎重な審理が必要とされるにもかかわらず,審議を尽くさないまま問題のある修正案の採決が強行された。法案のもたらしかねない重大な影響に鑑みると到底是認できない。
国民主権を形骸化しかねない法案について,民意に反した形で採決を強行することは,本法案が濫用されるおそれを端的に示しているとも言え,強い懸念を覚える。
当会は,同法案の拙速な採決について強く抗議するとともに,良識の府である参議院において十分な審議を尽くし,廃案とすることを要請するものである。
2013年(平成25年)11月27日
秋田弁護士会
会長 江 野 栄