オスプレイの普天間基地配備の撤回を求める会長声明

2013年2月13日 公開
 垂直離着陸輸送機MV-22オスプレイ(以下,「オスプレイ」という。)が沖縄普天間基地に配備されたことについて,沖縄県では,全県をあげて強く反対し,配備撤回を求めている。

 オスプレイは,「オートローテーション機能」(エンジン停止時に,機体が落下する際に生じる気流を利用して安全に着陸する機能)に欠陥があり,また,回転翼機モードと固定翼機モードの飛行モードの切替時に不安定さがあるなど,専門家から,構造上重大な危険をはらんでいるとの指摘がなされている。

 現に,オスプレイは,開発段階から重大事故を繰り返し,量産体制に移行した後も事故が絶えず,2006年からの5年間で58件の大小の事故が発生していることが,米軍資料で明らかになっている。ごく最近も,2012年4月にはモロッコでの訓練中に墜落し,搭乗員2名が死亡する等の事故を起こし,同年6月にもフロリダ州で訓練中に墜落して乗員5名が負傷する事故を起こしている。

 オスプレイの配備は,現状においてさえ「世界一危険な飛行場」と評されている普天間飛行場の危険性をより一層増大させるものであり,同飛行場周辺住民の生命・身体の安全という見地から決して許されるべきものではない。

 のみならず,アメリカ海兵隊環境審査報告書によると,配備後のオスプレイは,沖縄本島のほぼ全域を飛行するだけでなく,全国7ルートで低空飛行訓練をすることが予定されていることも明らかになっている。東北においても,青森県,秋田県,山形県の奥羽山脈沿を飛行する「ピンクルート」,青森県,岩手県,福島県の奥羽山脈沿いを飛行する「グリーンルート」を,高度150メートルという低空での飛行訓練が計画されている。そのため,オスプレイの飛行による墜落の危険,爆音や風圧による生態系を含む環境破壊などが危惧される事態は,沖縄県だけではなく,日本全国に広がっているといわねばならない。

 よって,当会は,このようなオスプレイ配備に対して強く抗議し,アメリカ政府に対して,オスプレイの普天間飛行場のみならず,我が国への配備の即時撤回と全ルートでの低空飛行訓練の中止を強く求めるとともに,日本政府に対して,オスプレイの我が国への配備と全ルートでの低空飛行訓練計画を白紙に戻すべく,アメリカ政府と交渉するように強く求めるものである。

2013年(平成25年)2月13日
 秋田弁護士会
   会長 近 江 直 人

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