秋田地方検察庁能代支部・能代区検察庁検察官の早期常駐を求める会長声明
2012年8月28日 公開
1 秋田地方検察庁能代支部・能代区検察庁に常駐していた検察官が平成24年7月31日付けで退官したが,その後任は本庁の検察官が併任の形で事件処理を行う事態となっており,能代支部管内に常駐する検察官が不在となっている。そのため,秋田弁護士会は,かかる事態に強い懸念を表明するとともに,速やかに検察官を常駐させることを強く求めるものである。
2 すなわち,同支部管内の検察官非常駐の結果,これまでより身柄拘束期間が延びる虞があること,併任検察官の負担増により裁判期日の調整が困難となり,判決まで長期化する虞があること,弁護人の事件記録及び証拠物の閲覧・謄写が制約されること,勾留裁判に対する準抗告申立や被告人の保釈請求の際,弁護人による検察官や裁判官との迅速な面談,申入れが事実上不可能となること等,検察官非常駐は,被疑者・被告人をはじめ事件関係者に多大な不利益,負担を与えかねない重大な事態と言わざるを得ない。
3 また,これまでも,全国的規模において検察庁支部における検察官の非常駐化が進み,本 庁に検察機能が集中する傾向が顕著となっていることから,東北弁護士会連合会は,2005年7月及び本年7月の定期大会において,すべての地方検察庁支部に検事を速やかに常駐させ,検察庁支部の人的・物的基盤を整備することを求めてきた。にもかかわらず,これまで地方検察庁支部における検察官の非常駐問題が一向に改善されて来なかった経緯を踏まえれば,当会としては,来年度に入っても検察官が配置されず,秋田地方検察庁能代支部・能代区検察庁が非常駐検察庁として常態化するのではないかとの懸念を払拭できない。
4 しかしながら,人員不足や経済的合理性等を理由にして検察官の非常駐化を許容することは,被疑者・被告人を含む市民の適正な手続保障の権利を侵害しかねないものであり,また,市民の身近にあって利用しやすい司法を目指すという司法改革の理想に逆行するものであることも明らかである。
5 当会としては,検察官の非常駐化の問題の重大性から,速やかに秋田地方検察庁能代支部・能代区検察庁に検察官を配置することを求めるとともに,検察官の増員や適切な予算措置を執ることにより,遅くとも来年度には秋田地方検察庁能代支部・能代区検察庁に検察官を常駐させる体制を整備することを強く要請するものである。
2012年(平成24年)8月28日
秋田弁護士会
会長 近 江 直 人