応急修理期間延長を求める会長声明
令和5年7月14日からの大雨(以下,「令和5年7月豪雨」という。)により,秋田県内各地で住家への浸水等の被害が発生した。秋田市ホームページによると,秋田市内の住家被害は全壊11棟,大規模半壊168棟,中規模半壊926棟,半壊1364棟,準半壊504棟に上っている。
準半壊以上の被災住家があった場合には災害救助法の応急修理制度が利用可能であるところ,令和5年7月豪雨にかかる秋田市の応急修理の工事完了期限は令和7年3月31日までとされている。しかし,当会災害対策委員会が調査したところでは,上記2973棟の住家被害に対し,未だ多くの被災者が応急修理制度利用に至っておらず,上記工事完了期限までに工事を完了することが困難と考える被災者もいることが確認された。
秋田市では,秋田市地域支え合いセンターが行う被災者戸別訪問や被災者支援制度説明等を通じて被災者の復興支援が行われており,自分自身で応急修理制度の申請をすることが難しい高齢者や障害者等への支援も続けられている。訪問による個別具体的な説明により,最近になって初めて自らが応急修理制度の対象になる認識をもつに至る被災者も未だおり,そのような被災者の中には,応急修理制度を利用するために必要な,修理業者の選定,工事箇所の決定,これにまつわる書類作成等,様々な意思決定や手続を支援なしに行うことができない被災者も少なくない。上記の理由により今後も相当数の応急修理制度利用希望があると予想されるところ,高齢者等の支援を必要とする被災者は,応急修理制度を利用するための手続や工事業者選定等について時間を要することも珍しくなく,結果として現在の完了期限(令和7年3月31日)までに工事を完了することが困難となっているものと考えられる。
災害救助法に基づく救助の期間は,応急救助に必要な範囲内において,内閣総理大臣が定める基準に従い,あらかじめ都道府県知事がこれを定めることとされている。また,内閣総理大臣が定める基準によっては救助の適切な実施が困難な場合には,都道府県知事は,内閣総理大臣に協議し,その同意を得た上で,救助の期間を定めることができることとされている。
当会は,応急修理制度の対象となる被災者が十分な支援を受け得るために,秋田県に対し,令和7年9月末日まで応急修理制度の申請期間及び工事完了期間を延長するよう要望するものである。
以上
2025年(令和7年)2月5日
秋田弁護士会
会長 石 田 英 憲