秋田弁護士会

辺野古新基地建設事業の中止を求める会長声明

2022年1月26日 公開

1 当会は、政府に対し、沖縄県名護市辺野古に新基地を建設する事業(以下「本件事業」という。)を中止するよう求める。
2 2019年2月、沖縄県において、普天間飛行場代替施設建設のための辺野古埋立ての賛否を問う県民投票が実施され、反対が43万4273票、賛成が11万4933票という投票結果(投票率52.48%)となった。この結果は、沖縄県民が本件事業に反対しているという民意を示したものとなった。
 住民投票は、地方自治の本旨の一つである住民自治を実現する制度であって、地方自治における住民による特定の政策についての自己決定に重要な意義を果たすものである。住民投票で示された住民の判断は、可能な限り地方政治及び国政において尊重されなければならない。特に、軍事基地の存在は、有事の際には攻撃目標になるおそれがある等、地域住民の生命及び身体の安全に深刻な危険を及ぼすものであるから、その建設の是非にはなおさら地域住民の意思が尊重されなければならない。しかし、政府は、前記のように示された沖縄県民の民意を無視して本件事業を継続している。
3 近時、秋田県においても、秋田市新屋地区の住宅地に隣接する陸上自衛隊新屋演習場へのイージス・アショア配備計画が問題となり、最終的に政府が同計画を撤回したという経緯がある。
 すなわち、防衛用ミサイル基地であるイージス・アショアが有事の際には最初の攻撃目標になること、迎撃ミサイルのブースターが市街地に落下する危険があること、そしてなによりも、このような潜在的な危険性を有する施設を、学校等を含め市民が日常生活を営む市街地の直近に建設することに対して、周辺住民をはじめ秋田県民が反対したことから、政府は同計画を撤回するに至った。
 普天間飛行場も市街地に密接し、周辺住民は航空機の墜落の危険や日夜鳴り響く騒音にさらされており、同飛行場の返還は沖縄県民の悲願である。それでもなお、沖縄県民が普天間飛行場を辺野古に移設することを拒否したという決断は極めて重く、前記のイージス・アショア配備計画撤回の経緯を知る当会は、その沖縄県民の民意は決して無視されてはならないと考える。
4 本件事業そのものについても、埋立予定地の軟弱地盤が発覚し工期が大幅に遅れていることや、珊瑚礁やジュゴンの餌場を含む沖縄の貴重な自然環境を破壊することになるなど、不合理な点が多い。特に、軟弱地盤の改良工事には相当の困難が予測され、本件事業は、事業目的とされた普天間飛行場の危険性の早期除去につながらず、結果的に費用と時間を無駄にしただけで終わる可能性もある。巨額の費用もさることながら、普天間飛行場が沖縄県民に現実に与えている危険を考えれば、そのような時間の空費は絶対に許されない。
5 以上のとおり、当会は、政府に対し、本件事業を直ちに中止することを強く求めるものである。

2022年(令和4年)1月26日
秋田弁護士会        
会長  山 本 隆 弘 

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