秋田弁護士会

新型コロナウイルス感染症に伴う人権侵害行為に対する会長声明

2020年10月29日 公開

 新型コロナウイルスは、全国的に第2波と呼ばれる感染状況となり、秋田県内でもクラスターが発生するなど、感染者が増えています。
 新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、感染者や濃厚接触者(個人的な憶測に基づくものを含む。以下「感染者等」といいます。)を特定し、その家族や勤務先等に対する誹謗中傷、プライバシー侵害等が行われているとの報道がみられます。
 基本的人権の尊重を基本原則とし、個人の尊厳、自由及び人格権(憲法13条)を保障する日本国憲法の下、感染者等やその家族などの人格や尊厳を侵し、また、生活に重大な悪影響を与える行為は決して容認し得ないものです。感染者等、その家族及び勤務先等に対する誹謗中傷、プライバシー侵害行為等は人権侵害行為にあたり(以下、たんに「人権侵害行為」といいます。)、たとえ不要不急と思われる外出や、行政の要請に反する状況で感染したとされる方に対してであっても、正当化されることはなく、決して許されるものではありません。
 このような人権侵害行為がなされると、感染者等は更なる人権侵害行為に遭うことをおそれて、感染の疑いがあっても医療機関を受診せず、あるいは、感染経路や濃厚接触者に関する情報を明らかにしないなどの弊害も生じます。かえって感染の拡大につながりかねません。
 秋田弁護士会は、新型コロナウイルスに関連する人権侵害行為が容認し得ないものであることから、人権侵害行為に及ばないよう広く社会に呼びかけるとともに、被害に遭われた方に対する法的支援を提供し、引き続き基本的人権の擁護に全力を尽くす決意を表明します。
 秋田県では、先の10月28日、秋田県や秋田弁護士会など県内20団体による「新型コロナウイルス感染症に伴う誹謗中傷防止共同宣言」がなされ、人権侵害行為防止のための活動が開始されているところですが、国及び地方自治体には、引き続き新型コロナウイルス感染症に関する必要かつ正確な情報提供を行い、偏見差別・人権侵害防止のための普及啓発活動を継続的に講じることを求めます。

2020年(令和2年)10月29日
 秋田弁護士会
  会長  山  口  謙  治

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