秋田弁護士会

秋田地方法務局本荘支局及び大曲支局の公証事務の取扱いの再開を求める会長声明

2020年8月24日 公開

1 公証事務は、公証人が提供する法的サービスであり、公正証書の作成、定款などの認証、確定日付の付与等がある。特に、公正証書は、遺言、借地契約、任意後見契約などに利用され、企業のみならず市民にとっても身近な存在となっている。また、本年4月1日施行の改正民法において第三者が事業用融資を保証する場合に公証人による保証意思の確認が必要とされたように、今後も新たな公証事務の創設もあり得る。

2 このように、公証事務は原則として公証人が担うことになっているが、公証人法第8条の規定により、法務大臣は、地方法務局支局等の管轄区域内に公証人がいない場合等に当該地方法務局支局等に勤務する法務事務官に公証人の職務を行わせることができるとされている。この制度は、公証事務の重要性に鑑み、公証人がいない地域の市民も公証事務を容易に利用することができるようにするためのものである。この制度によって、令和2年6月時点で、全国14か所の法務局支局において公証事務が取り扱われていた。

3 ところが、令和2年7月1日、法務大臣は、秋田地方法務局本荘支局及び大曲支局を含む全国の4支局における公証事務の取扱いを廃止した(ただし、確定日付の付与については従前通りとされている)。秋田県内では、県南部には公証役場がなく公証人がいないため、公証人法第8条により秋田地方法務局本荘支局及び大曲支局において公証事務が取り扱われていたが、この両支局の管轄区域は、秋田県内の6市2町1村という広範囲に及ぶため、公証事務の取扱い廃止の影響は大きいものとなる。

4 この度の4支局での公証事務の取扱いの廃止として、法務局は、法務局支局で公証事務を開始したころに比べて、道路交通網の整備、公共交通機関が発達したことにより、住民の移動手段が飛躍的に向上したことや、情報通信技術の画期的な発達により、ファックスや電子メールが一般家庭に普及し、公証役場への来庁回数を1回とすることも可能であることなどを挙げている。

  しかし、とりわけ全国一の高齢化が進む秋田県内において公証事務の利用を希望する市民である高齢者の立場からすれば、ファックスや電子メールという情報通信機器の保有率は低い上、情報通信手段を持つ者にとっても自身の家庭に関する問題を情報通信手段の利用のみで公証役場に相談してやりとりすることの心理的障壁は大きく、県南部に住む市民にとって秋田市の公証役場までの移動は長距離であり大きな負担を伴うものである。

  このような事情に照らすならば、本荘支局及び大曲支局における公証事務の取扱いの廃止は、両支局の管轄区域に住む6市2町1村の住民の公証事務へのアクセスを阻害し、法的紛争を未然に予防する重要な手段の利用が妨げられる結果を招来するものである。

5 また、地方法務局支局において公証事務を取り扱っていることについては、公証事務の取扱いがある地方法務局支局のホームページにも取扱い業務として掲載されておらず、十分な周知がなされていない状態である。このように十分な周知がなされていない状況において、利用件数が少ないことを理由として公証事務の取扱を廃止するのは相当ではない。

6 よって、当会は、法務大臣に対し、速やかに秋田地方法務局本荘支局及び大曲支局における公証事務の取扱いを再開することを求めるとともに、公証事務の取扱いのある全国の法務局支局については、市民に対し、取扱い事務に公証事務が含まれること及び取扱いのある公証事務の内容を積極に周知することを求める。


                     2020年8月24日 

                     秋田弁護士会     

                      会長 山 口 謙 治

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