秋田弁護士会

憲法違反の安全保障関連法による南スーダンPKOに対する新任務付与に反対する会長声明

2016年11月22日 公開

 2015年(平成28年)11月15日、政府は、南スーダンの国連平和維持活動(PKO)に派遣する陸上自衛隊の部隊に、昨年9月に成立した安全保障関連法に基づく新任務である駆けつけ警護を付与することを盛り込んだ実施計画を閣議決定し、あわせて国家安全保障会議において宿営地の共同防護ができることを確認した。

 駆けつけ警護は、離れた場所で襲われた国連職員やNGO職員らを助けに向かう任務であり、宿営地の共同防護は、他国のPKO要員らとともに武装勢力から宿営地を守る任務である。駆けつけ警護では、襲撃されている他国要員等を守るための武器使用が認められ、宿営地の共同防護では、外国の軍隊の部隊の要員とともに、宿営する宿営地に攻撃があったときに当該宿営地に所在する者の生命又は身体を防護するために武器使用が認められている。これらの任務は、敵対勢力の反撃次第で戦闘行為に発展する可能性があり、その場合には憲法第9条が禁止する武力の行使又は武力による威嚇に抵触するものである。

 また、陸上自衛隊の派遣先となっている南スーダンは、2013年12月の大統領派と副大統領派の戦闘を機に激しい戦闘状態が続き、2015年7月には首都ジュバで両派による大規模な戦闘が発生し、多数の市民が死亡したと報道されており、国連南スーダン派遣団も「暴力や武器衝突の報告が増加していることを非常に懸念している」と認めている。このような状況下において「駆けつけ警護」などの危険な任務を付与された陸上自衛隊が派遣されようとしているのであり、その任務遂行のために武器を使用することになれば、自衛隊員が政府軍や反政府軍の兵士を殺傷したり自らも犠牲になる可能性が極めて高く、自衛隊が戦闘行為に巻き込まれることになる。このような事態は、当会がこれまで安全保障関連法が憲法違反であると主張し、日本が戦争に巻き込まれることになると懸念してきたことの現実化であって、到底容認するはできない。

 よって、当会は、政府に対し、改めて憲法違反の一連の安全保障関連法の廃止を求めるとともに、南スーダンに派遣する陸上自衛隊に対し「駆けつけ警護」「宿営地共同防護」の新任務を付与することとした閣議決定等の撤回を求める。

 

                    2016年(平成28年)11月22日

                      秋田弁護士会

                       会 長  外 山 奈央子

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