地方消費者行政に対する国の実効的支援を求める意見書
2011年7月12日 公開
もとより地方自治体が独自の工夫・努力によって消費者行政を充実させることは当然であるが、これまで消費者行政を推進する中央官庁が存在しなかったこともあり、消費者行政に対する地方自治体の意識や体制はあまりにも格差がある。加えて、地方自治体が担っている消費者行政の業務の中には、相談情報を国に集約するパイオ・ネットシステムへの入力作業や、違法業者に対する行政処分等、国全体の利益のために行っているものも少なからず存在する。現在、国からの支援として、地方消費者行政活性化交付金、住民生活に光を注ぐ交付金が存在するが、いずれも期間限定の支援に留まっており、相談員や正規職員の増員による人的体制強化等継続的な経費への活用には自ずと限界がある。
したがって、国は地方消費者行政充実のために継続的かつ実効的な財政支援を行うべきである。
あわせて、国は、小規模な市町村がよりスムーズに消費者行政の強化を行うことができるよう、都道府県と市町村とが広域的に連携する取り組み例を推進するなど、地方自治体にとって取り組みやすい制度設計を具体的に示すべきである。
さらに、消費生活相談窓口を現場で担っている消費生活相談員の地位・待遇も、期限付きの非常勤職員の扱いが大半でありその地位の安定と専門性の向上を図ることが困難な状況にある。その待遇も、消費生活相談業務の専門性に見合ったものとは言い難い現状にある。住民が安心して相談できる消費生活相談窓口を実現するためには、消費生活相談員の専門性の向上とともに、その地位の安定、待遇の改善に向けた制度の整備も重要である。
よって、秋田弁護士会は、国会及び政府に対し、地方消費者行政の支援について次の事項を要請する。
記
1 〔実効的な財政措置〕
国は、地方自治体の消費者行政の充実に確実につながるよう、地方消費者行政活性化基金等の延長も視野に入れつつ、一定の幅を持たせながらも使途を消費者行政と明示した継続的かつ実効的な財政支援を行うこと。
2 〔地方自治体にとって利用しやすい制度枠組みの提示〕
すべての地方自治体が身近で専門性の高い消費生活相談窓口を消費者に提供するという観点から、国は、あるべき相談窓口の姿について一定の目安を提示するとともに、これを単独で実現することが困難な小規模自治体も多数存在することから、都道府県と市町村とが広域的に連携して相談窓口を設置する方策など、地方自治体にとって利用しやすい制度枠組みを提示すること。
3 〔消費生活相談員の地位・待遇の向上を可能とすることができる任用制度の創設〕
消費者が安心して相談できる消費生活相談窓口の充実・強化を図るため、相談を担う専門家である消費生活相談員を含め、常勤はもちろん非常勤の立場であっても、専門性に見合った待遇のもとで安定して勤務できる専門職任用制度の整備を行うこと。
平成23年7月12日
秋田弁護士会 会長 三 浦 清
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