東日本大震災等の被災者への「法的支援事業」特別措置法の制定を求める会長声明

2012年2月9日 公開
 当会は、東日本大震災の被災者を支援するため、日本弁護士連合会、日本司法支援センターなどと協力しながら、被災地での法律相談活動に弁護士を派遣し、県内の避難者のための法律相談活動を行うなど、被災者の法的ニーズに応えるための活動をしてきた。
 被災地での法律相談の際には総合法律支援法に基づく民事法律扶助を利用して活動を行ったが、同法に基づく現行の民事法律扶助を利用しての活動には限界があることが判明した。
 同法は、弁護士等による法的サービスをより身近に受けられるようにするための支援について定めており、資力の乏しい者にも民事裁判等手続の利用をより容易にする民事法律扶助事業をひとつの中核の事業と定めているところ、民事法律扶助の利用のためには資力要件が課されており、支援の対象も裁判所による民事裁判手続に限定されている。
 しかし、被災者に対して資力の有無を申告させ確認することは、震災により苦しんでいる被災者への配慮に欠け、法的救済を求める被災者に対して大きな負担を強いることになりかねない。
 また、今回の東日本大震災の被災地においては、「個人債務者の私的整理に関するガイドライン」、原子力損害賠償紛争解決センターといった、裁判外の法的問題の解決手続きが作られているところ、民事法律扶助事業では裁判外の手続の利用を正面から認めてこなかったが、被災地の法的問題の解決のためには、このような手続の利用を促進させる必要がある。
 以上から、当会は、東日本大震災の被災者支援のため、
 (1)資力で被災者を選別しない法的支援事業の創設
 (2)民事裁判に限定されない柔軟な支援の実現
を内容とする「法的支援事業」特別措置法が早急に制定されることを求める。

2012年2月9日
 秋田弁護士会
   会長 三 浦  清

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