秋田弁護士会

商品先物取引について不招請勧誘禁止を撤廃することに反対する会長声明

2013年11月11日 公開

商品先物取引について不招請勧誘禁止を撤廃することに反対する会長声明

 本年6月19日、衆議院経済産業委員会において、証券・金融・商品を一括的に取り扱う総合取引所での円滑な運営のための法整備に関する議論の中で、内閣府副大臣は、委員の質問に対し「商品先物取引についても、金融と同様に、不招請勧誘の禁止を解除する方向で推進していきたい」旨の答弁をした。

 この答弁は、総合取引所において商品先物取引業者に対しても監督権限を有する金融庁が、総合取引所に関する法規制について、不招請勧誘が禁止されていない他の金融商品と同様の規制とするために、商品先物取引についてこの機会に不招請勧誘禁止を撤廃し、禁止規定を設けない方向で検討していることを示すものであるが、これは商品先物取引についての不招請勧誘規制が導入された経緯を軽視し、2012年8月に産業構造審議会商品先物取引分科会が取りまとめた報告書の内容にも反するものであり、到底看過できない。

 そもそも商品先物取引は、その仕組みが複雑で消費者に理解し難く、かつ、リスクの高い取引である。そのため、悪質な業者が突然の電話や訪問による勧誘によって商品先物取引の知識や経験に乏しい消費者を取引に引きずり込み、深刻かつ悲惨な被害を多数与えてきたことから、消費者・被害者関係団体等の長年にわたる強い要望によって、2009年の商品取引所法改正により、ようやく導入されたものである。

 その後、2012年2月から6月にかけて開催された産業構造審議会商品先物取引分科会における議論に際しては、その分科会報告書において、商品先物取引についての不招請勧誘規制を維持することが確認されている。

 実際、2009年から2012年にかけて商品先物取引の出来高は約4分の3に減少したが、PIO−NETにおける商品先物取引についての相談件数は約4分の1に減少した。このように出来高の減少よりはるかに大きな被害の減少が報告されており、これは、望まない者が取引に巻き込まれる事案が不招請勧誘規制の導入によって減少したことを示すものである。その一方、不招請勧誘規制を潜脱する業者の勧誘により消費者が被害を受ける事例がなお相当数報告されており、不招請勧誘禁止を撤廃すれば、商品先物取引被害が再び増加するおそれが極めて高いものである。

 このように、商品先物取引についての不招請勧誘規制は、深刻かつ悲惨な被害の多発を受けて導入されたもので、前記分科会においても、有識者らが様々な角度で議論した結果、規制維持の必要性が確認されたにもかかわらず、それから間もない現時点において、何らの検証もなく、規制を撤廃する方向で検討することは極めて不適切である。

 以上、当会は、消費者保護の観点から、商品先物取引についての不招請勧誘禁止を撤廃することに強く反対する。

2013年(平成25年)11月11日
 秋田弁護士会
   会長 江 野   栄

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